岩吉の三升酒
勝蔵が来た。野郎っ、次郎長は、思わず腰が浮いた。勝蔵は片目っかちだ。少し肥って色は白い。と途端に、にこっとして、ちょっと頭を下げて会釈して行った。肩の錦布れに、きらっと陽が当った。文吉の子分の岩吉というのが、かねて、親分の申しつけで、多勢の宿の人たちに交じって、大竹屋の横の柳の木の蔭で官軍を見ていた。というよりは、次郎長の動きに、ちらっちらっと油断ない鋭い目を走らせている。もし次郎長がばたりとでもすれば、只事では済まない。岩吉は元江戸の友綱部屋の相撲取で、岩の里といった。これが柔(やわら)の上手で、大きなからだに似ない敏捷でもあり、文吉に命を助けられて仏様のように思っている男だ。清水の者たちも知っている顔なのだが、いつの間に来たのか、自分たちは官軍の行列ばかり気をとられていてわからなかった。みんな通り過ぎて、街道ががらんとして、はじめて次郎長が気がついた。「岩さんにかかっちゃあ、おれも一たまりもねえだろうね」と笑った。「飛んでもござんせんよ。とにかくまあ、波風が立たなくて何よりのお日和(ひより)でした」と岩吉も笑う。これから次郎長が、どうしてもというので、岩吉は清水港へつれて行かれ、鶏を五羽、酒を三升、息もつかずに一人で飲んで、それで酔った顔もせずに悠々と帰ったという。さすがの次郎長身内のあばれ者たちも余っ程肝を潰したとみえて、いまだに清水港の古老たちの間には、この話が残っている。(「よろず覚え帖」 子母澤寛) 勝蔵は官軍に加わって東海道を下った次郎長の敵役の甲州黒駒の親分、文吉は次郎長に無用な混乱を避けるよう清水に説得に来た駿府の首つぎ親分と言われた人物だそうです。
☆★☆★☆★おすすめサイト情報☆★☆★☆★
日本の重要文化財 下町東京 広島の歴史 不動産用語 サンタはどこ 牛の生涯 河川のお話 大阪情報 欧米の美術 ことわざ集 茨城の情報 せの付く言葉 惑星のお話 香り・情報 コインの秘密 知って・マナー 原始時代 いざ・鎌倉時代 世界の建築 季節のこよみ 月の物語 湯・山梨 外国の物語 果実で美! オレンジ活用 掃除秘伝 あの付く言葉 四字熟語集 夏目漱石集 妊婦さんの豆知識 日本の美術 大好き昆虫 日本の詩歌 長寿祝い つらい・花粉症 おいしいお菓子 湯・群馬 冠婚マナー集 玉露百科 楽しいアロマ 日本の音楽 皮膚と体毛 コーヒーで一息 循環器事典 さくら咲く こどもの歌 ペットの医学 家庭用語 ハーブ園芸案内 おしゃれ用語 お茶だ百科 日本の経済 ステキな花言葉 海水魚 美肌美人 ステキ・手作り